2011.11.13 公家的⑦(2010年12月20日)
収録は出来ないから、休みの合間に、本の印刷の件で打ち合わせに
行きました。本の印刷とDVDとCDのプレスは全部中国でやるつもりです。
包装用のパッケージや袋などを作る工場を運営している義理の弟の紹介で、
趙さんに会いに行きました。
今回は妹の家に泊まっていました。
妹の家は中心からちょっと離れている住宅地にあります。
車庫がない原因なのか、夜になると、ビルの周りあらゆるところに、
車だらけです。ビルの間の道の両側に車が止まっているため、タクシー
はいつもぎりぎり通るぐらいです。
車は延延と並べて、住宅地を越えて、先の海側の大通りまで止まっています。
ここで住む人はせめて「マイホーム」と「マイカー」を持っている普通より
裕福層です。
住宅地の入り口でタクシーを拾うとしたら、止まっている一台の車から女性に
声をかけられました。
「何処へ行きますか。」「金洲です」「50元で送ってあげましょうか。」
寒いし、いいやと思って乗りました。
以前は知らなかったですが、大連ではこのような「タクシー」はかなり多いです。
これは「黒車」と呼ばれています。
「黒車」はタクシーの許可など何にもないのに、お客さんを運ぶという
車のことです。にぎやかな中心にはあんまり無いけど、このような離れている
住宅地などによくありますが、気をつけないとタクシーより高い料金を
取られてしまうのです。
色々な税が無いから、タクシーより稼いでいるらしいです。こうして
職業にする人もいます。
運転手は50に近い女性です。
「これは仕事としてやっていらっしゃいますか」私から聞きました。
「息子のために買った車です。暇で保険料やガソリン代ぐらい稼ぎたいです。」
「息子はおいくつですか。」
「22歳です。」
みんなは車も資産として買っているでしょう。果たして車を消費する
力は持続的に持っているでしょうか。近年ある程度お金を持っている
中国人は増えてきましたが、お金の使い方はわからない人は多いようです。
とりあえずほしいものがあればお金を出せる範囲では衝動的に買って
しまうようです。消費の面では上海人は一番冷静的かもしれません。
金洲は大連から近い町です。約束したところで趙さんは迎えに
来てくれました。弟の紹介ですから、「値段の交渉はしないから、
弟のことだと思って見積もってください。」と趙さんに言いました。
かなり安い値段でした。その後その足でDVDのプレスのところに
行くつもりで、今回は誰の紹介もなく、どうしようと思って「趙さん、
今日はお忙しいですか、付き合ってくれませんか。」と頼みました。
趙さんの車に乗りました。
「今回の見積もりはかなり安くしています。正式の領収書は要ら
ないから、出来たのです。」趙さんは言い始めました。
「一枚の正式な領収書は23%税金を払わなければなりません。」
「えっ、会社は赤字でも?」
「そうよ、税金は領収書で払います。税金を払えないぐらいの
取引をしないようにすることです」
「うちの会社は小さいから、月に8、9千元ぐらい税金を払います。
いきなり今月すごく儲かって、3万元の税金を払うと、税務署はすぐに
検査に来ます。来ると対応したり、帳簿を持っていかれたりになると、
仕事は出来なくなるから、そういう場合は、いろいろな工夫して、1万元
以内に収めるようにします。」
「どういうふうに?」
「よそから領収書を買ったりして・・・・」
その手口は説明を聞いても分かりませんでした。
中国の領収書は皆さんは見たことはありますか。
かなり面倒な厳密なものです。番号など色々書くし、切り方は階段の
ように切っていきます。多分偽造できないようにしているでしょう
なるほどいつも不思議に思っていました。
「私達も余計なことしないで、大人しく税金を払いたいです。そうさせ
てくれないから、毎年税務署の担当者にお金をあげるしかないです。」
「いくらぐらいですか。」
「年間千元ぐらいです。会社は小さいから。」
「ただの千元ぐらいのために?」
「まあ彼達は“公家飯”をたべているからね、・・・」
“公家飯”は公務員のことをさしています。
問題があったではないかと疑って検査に来るんではありません。
来ようと思っても口実はないから。
いやらせの理由も必要です。
そうしなければ、どうやってこの千元ぐらいお金を
自分ポケットに入れますか。こうするしかないでしょう。
平穏させたら、誰にも相手にされなくなるでしょう。
金洲の「金座」という店に入りました。DVDのプレスのコーナーを
見つけて、私は相手が値段を出したまで声も出ませんでした。
全部趙さんに任せました。
ここはいわゆる「地下工場」です。つまり偽造品工場です。
こういうところを利用すればかなり安いです。
最後に「日本で使っているDVDも出来るわけ?」と
聞きました。
趙さんのおかげでうまく取引できました。